行政視察2金沢編

前回は、区民文教委員会の行政視察1として、奈良県奈良市が取り組む、「まちかど博物館」について、ご報告を申し上げた。

今日は、つづいて、石川県金沢市が取り組んだ、4つめの図書館、「海みらい図書館」を視察させていただいたご報告をしたいと思う。

図書館長のお話では、金沢市は、平成18年に歴史都市として認定され、21年にはユネスコから「クラフト創造都市」として認定されたほか、4つの地区が、国から「重要文化工芸財」の認定を受けた、加賀藩前田家としての武家文化が残る都市であり、金沢氏と言う都市は、未来的な美術館を擁した文化と民度が高いまちであるというご説明があった。

では、「海みらい図書館」について、ご説明したい。

位置づけとしては、西部地区は新興住宅街が広がり、ここには図書館がなかったことと、現存する3つの図書館とともに、市全域サービスの核となる図書館として、1地域に根差した図書館、幅広い世代・地域間交流の促進ができる図書館 2新しいランドマークとなる図書館 3地域の新たな情報拠点としての図書館、というコンセプトを持たせた図書館づくりを始めたそうだ。

壁は4面、自然採光を取るために、ランダムに円形に抜かれた窓が、濃く青い空のなか、白い壁が、空に溶け込み、水玉模様のように見える。この壁は、耐震構造のためにも有効ということだった。

中に入ると、左手にホールがあり、ガラス張り。

このホールの横に、テラスで置かれるような4人がけのテーブルに、椅子が4客。

ここに、小学4~5年生であろうか、女の子たちが、おしゃべりをしながら、学習していた。

その右手に、図書館入口があり、その奥に、子供たち用の図書が並んでいた。

生命や宇宙に関する本のほか、美容整形に関する子供用の本まで置かれていた。

階段を上がると、2階、3階が吹き抜けになっている。

ここからが自然採光を取り入れた、図書館(2階)、および、街づくりのためのコミュニティミニ広場(3階)と閲覧室(3階)となっていた。

3階へあがると、2階の図書館フロアに、大人はもちろん、平日午後であるが、小学生の子供を連れた親子や、子供たちがいるのが見えた。3階は、長い机が並び、いすが置かれている。このテーブルとイスは、イタリア製のものだそうだ。各いすが置かれたところには、机用のランプシェードが置かれており、ここでも、小学3年生くらいの男の子が、一人、机に本を並べ勉強していた。また、一人で、漫画で歴史を勉強している低学年の女の子、2人で学校の宿題をこなしていた小学生の女の子たち・・・と、意外や意外、子供たちが大勢いるのに気がついた。

宿題を終えたばかりの女の子に声をかけてみた。

「どうして、学校の図書館で勉強しないの?」

すると「学校の図書館は、うるさいから。ここは、静かで、集中できるから好き!」という答えが返ってきた。

子供たちにとっては、開放感がある図書館で、自然採光が入り、空調も完備していて、天井が高いこの空間が、広々としていて、気持ちの良い空間なのであろうと思う。

館長に尋ねてみると、「子供たちが大勢来ています。子供達は、子供たちらしく、騒ぐし、走るし、ふざけるし、大変ですが、勉強できる空間としては、最適のようで、連日たくさんの近所の子供たちが来てくれます」とのことだった。

確かに、当初、設計において、金沢市が目指したように「地域に根ざした図書館」であり、かつ「幅広い世代」から愛されている図書館であることが感じられた。

さらに、地域の木を伐採した、ひとりひとりが腰掛けられるベンチもあった。

さしずめ、中央区ならば、桧原村の木々を利用することになるのだと思うが、斬新なデザインで自然採光を取り入れる未来的な図書館の中で、自然の木があるのは、さらに人間の心理として、落ち着きが増すように思える。

ちなみに、子供たちが、細長いテーブルで、足がつかない大人用のいすに腰掛けて、勉強している様子を見て、館長に尋ねてみた。

「あのいすとテーブルは、人間工学に沿ったように、作られたのですか?」と。

これについては、「子供たち用の閲覧テーブルとイスは、1階部分の子供用の図書室におかれており、こちらのテーブルとイスは、大人用になっているだけで、特に、人間工学に沿ったものを置いているわけではありません」との回答だった。

けれど、足がつかなくても、子供たちは、この椅子に腰かけ、テーブルで勉強をしている。その様子は、自主的に学ぶ姿勢を感じるものだった。それだけ、居心地がよいということのだろうと、改めて感じた。

いつまでも、ここで過ごしていたいな…と思うような、まるで自宅のリビングのような居心地の良さを、周辺地域の住民の方々に提供しているような、「海みらい図書館」。

帰り際、バギーに幼い子供を入れた3人の若いお母さんたちが、図書館へ入っていった。

幼い子供を連れた、若いママたちにも、この図書館は愛されている。

見方を変えれば、子供は、騒ぐので、うるさい!とおしかりを受けるのが、一般的な図書館であるが、ここは、世代を超えた人たちを受け入れるだけの、懐が深い図書館である、ともいえる。

みんなが、「ここで過ごしたい」と思うような図書館。

本を静かに読むだけでなく、「地域の新たな情報拠点」としての図書館、として、金沢市の新たな、市民サービスの核という位置づけを、早くも一役も二役も、担っている。

ちなみに、この図書館のデザインをした東京のデザイン会社は、ほかにも、多くの素敵な空間を大学のキャンパスをはじめ、あちこちでクリエイトしている。

「海みらい図書館」は、CMにも使われたことから、日本全国、また、世界からも、視察に来る人たちが多い、というのは、館長として、良い意味での「想定外」であったそうだ。

本区でもこれから、「本のまち 中央」として、大型複合施設を作るが、多くの区民や、他区の方々からも、「居心地が良くて、いつまでもいたい」と思っていただけるような、生涯学習の場、となることを願う。