防災等安全対策特別委員会の報告

本日、担当する「防災等安全対策特別委員会」が開催された。
配布資料は、「特別区災害時相互協力及び相互支援に関する協定の見直しについて」であった。

これは、特別区といわれる東京23区内で、地震など災害が発生したときは、被害が小さい区が、被害が大きい区を相互に助け合おうという取り決めである。
「災害を免れた区あるいは被災の軽微な区が連携して、支援対策本部を設置し、応援職員の派遣や救護物資の提供、被害者の受け入れなど被災区の負担を軽減する方策を盛り込み平成8年2月16日に締結したもの」ということであった。

協定第5条(相互協力及び相互支援の内容)の(14)において、「帰宅困難者への対応に関し、区間協力、一時滞在施設への受け入れ、物資提供その他の区間協力、区間支援に必要な事項」がある。

一方、3月27日までに区長会において、「都地域防災計画の具体化に向けた都区の役割分担」をまとめ、「帰宅困難者対策では、東京都が情報を集約し、各区や駅前対策協議会に提供する」ということや、「物流・備蓄・輸送体制では地域内備蓄の充実に向けて都区間で検討」など、役割分担をまとめたと本年3月28日の「都政新報」で報じられた。

帰宅困難者については、3・11の際、本区は大変な混乱となり、震災以降現在まで、この問題には行政を挙げて、区内の企業の方々にもご協力をいただきながら、対策を講じてきている。
そんな中、「東京都が帰宅困難者の情報を集約する」と報じられれば、では、東京都が情報を集約し、区に指示を出すまでは動けないのか?というような事態にならないか?
おそらく大きな災害が発生すれば、都が、東京都全体の被害を把握しながら、さらに帰宅困難者についても情報集約を行い、それをもとに、各行政へ指示を出す・・・ということを迅速に行えるとは、想像ができない。
一番迅速な情報収集が可能なのは、あくまで、地元区ではないだろうか。
かえって、東京都の指示を待つことによって、街に帰宅困難者があふれ、結果的に区民の生命・身体の安全を害する恐れが高いのではないか?という視点で、質問をした。

また、都の総務局は11日、首都直下地震の発生から72時間を中心に、都と各防災関係機関が講じるべきマニュアルを作成しているが、この中でも、エリア別に4つに分けた区部、なかでも、中央区は、都心部を要しているため、「幹線道路や河川を使って他の被害が甚大な地域への支援サポートが求められている」と発表した。
しかし、首都直下型の地震発生から、わずか72時間を中心に・・・とはいえ、都心、中央区が帰宅困難者問題を抱えながら、区内の全体の被害状況を把握し、限られた職員の人数で、夜を徹して対策を講じ続けざるを得ない状況の中で、東京都の要請による支援のサポートができるとは到底、想像ができない。
72時間は、災害発生後の生命の期限とも言われている中で、行政も地域の方々も、周囲の人たちの安否確認や、仮に建物の倒壊などで生き埋めになった方々への救済の真っただ中であろうはずであり、また怪我を負った方々への対応などに追われているはずではないだろうか。
東京都が想定した「発災72時間をマニュアル化」したものは、被害が小さければ可能であろうが、首都直下型地震の際は、あまり有効であるとは思えなかった。
そこで、これについても、どう考えるのでしょうか?と、質問をした。

担当の職員の方は、明確に、「一番大切なのは、区民の命の安全」ということをおっしゃった。
そのとおりである。
まずは、区民の方々の安否確認や様々な対応を行いながら、区民を守る体制を構築しなければならない。
そのうえで、余力があったら、他地域への支援も可能となるだろう。
けれど、守るべきは、まず、地元区民の方々と、区内の帰宅困難者の方々をきちんと留め置き、家族のもとへ帰りたいと思う方々に対しても、的確な情報を提供していくことが、結果的に、区民と地域を守ることになるはずだ。

ところで、4月22日のNHK首都圏ネットワークの中で、葛飾区のマンションが、防災訓練を行っている様子が映し出された。
今回は、被害想定を住民に一切知らせず、階下に参集してきた住民に、初めて被害想定を伝え、その中で自分がどう動けるののか?という実践に即したシュミレーションを行ったものである。
葛飾区の中村けいこ議員に詳細を伺った。
「マンション住民の協力体制がいかにとれるか、というシュミレートを行った」ということだったが、企画したのは、このマンションに住む方ご自身だったそうだ。
葛飾区の防災対策のホームページを見ると、「防災訓練計画書の提出について」というものがある。
住民自身が、自ら手を挙げて、行政に防災訓練を申し込むというものだ。
中央区は、消防署に提出するとのことだったが、葛飾区のHPにある、この申込書の後には、これから行う区内の防災訓練の詳細が並んでいる。
マンションだけでなく、企業、地域の商店街、学校、地元自治会・・・などなど、複数挙手をしている。
また、葛飾区は、「大規模災害では、公的な機関はなかなか動けない現状があるので、地元の地域は自分たちで守る意識で、積極的に防災訓練に参加してください」という趣旨の文言が並び、自助、そして共助への取り組みを、住民に呼びかけている。

本区は、先日、足立区議会議員から、「中央区の高層住宅の取り組みが他区より進んでいると聞いているので、教えてほしい」、という要請があり、私は防災危機管理室から資料をいただき、これを足立区議会議員に送付した。
外国語で書かれている防災計画書、高層住宅用の防災マニュアルを年間3棟ずつ作るというパンフレット(マンションごとにオーダーメイドの防災対策を講じられるもの)、またこの取り組みを行ったマンションでは、年間4回、防災教育が施されること、また、事業者向けのパンフレット、地域防災のパンフレットについて、「ここまでよく手厚く行っているか!」と感嘆された。
担当職員の皆様方の努力のおかげである。

けれど、手厚く、丁寧な対策を講じる中央区行政だが、震災については、区が主導していくことだけでなく、「住民の皆様に、いかに危機感を持ってもらうことが大切か(葛飾区議会議員 中村けいこさんの言葉)」、ということは事実である。ここから自助と共助は始まっていくからだ。
また、葛飾区のマンションでも報じられていたが、想定されていない問題発生という課題に対し、戸惑う住民たちも多くいたことから、マニュアル通りには事が運ばず、住民自身が、解決すべき課題にあたることが、自助、共助にさらにつながっていくステップとなる。
本区も、危機感を持っている住民の方と、明日は我が身となる危険性があるにもかかわらず、震災を実感しにくい住民の方々がいらっしゃる。
他人ごとではなく、自分たち自身の問題として、「なんとかなるだろう」ではなく、問題意識をもって、地域の防災訓練に、ぜひとも参加していただきたいと願う。

最後に・・・東京都福祉局が、都内在住の身体・知的・精神の各障害者と難病化隠者の実態に関する調査の結果速報を発表している。
昨年4月から難病患者の方も障害の範囲に含まれたことから、今回初めて聞き取り調査が行われた。
これによると、各障害の方々、ともに3割を超える人が、「特に震災対策を取っていない」と回答している。
他方で、「避難所に、必要な設備・食糧・医薬品はあるか?」という点に不安を感じている方は5割程度いることもわかった。
少なくとも、難病の方や、薬を服用しなければならない障害がある方々は、自助の取り組みを行うべきではないだろうか。
3・11の時は、薬も、お薬手帳も流されて、「私は癌なので、薬がないと本当に困るんです」とおっしゃっていた被災者の方をメディアを通して見ていたが、すべてが流されたような被害を除き、危機感をもって、自分が必要なお薬は最低量を確保していただきたいと願う。
昨年末から今年にかけて、私は各障害者団体の会長さんにヒアリングをかけた。
この時、最も心配されるのが、都の福祉局の調査同様、「薬」だったが、このときは、「長引く被災生活で、処方箋を書いていただかないと、薬が出ない時はどうしたらよいのですか?」というご質問だった。
これには、薬剤師の先生が、こんなアドバイスをくださった。
「いつも、自宅の近くの薬局を決めておくことです」と。
どの薬を服用しているのか、薬剤師の方々は把握していらっしゃるとのこと。
もちろん、処方箋がなければ、お薬は出せない。しかしながら、関係医療機関と協力のもと、処方箋を迅速に出していただき、対応を取ることはできる。
有事の際、「誰かが、助けてくれるだろう」という他力本願は、自分の命を危険にさらすだけでなく、周囲の人たちを巻き込むことにもなってしまう。
先日、被災地の障害者の方に起きた当日の映画を見させていただいたが、迫りくる津波を見て、車いすの男性は覚悟を決め、「どうか、逃げてください」と助けに来てくれた人たちに頼んだ。この男性は、津波にのまれて亡くなった。もっと迅速な避難支援ができていれば・・・と思うと残念である。
とにもかくにも、自助である。
これから、障害者の方へ、災害時の自助の備えを構築していただけるように、働きかけていきたいと思う。